KEEP CHALLENGING FOR “HITOTOWA”

「人と和」のために挑み続ける

HITOTOWA INC. 代表 荒 昌史

2010年12月、HITOTOWA創業。3ヵ月後には東日本大震災が起き、日本中にあらゆる社会課題が噴出した。その途方もなさに、一時は「圧倒的な無力さを感じた」という荒。だが、それまでに自ら立ち上げ推進してきたNPO GoodDayやCSR部署にて培ってきた経験をもとに、東日本大震災の復興や新たな仕事に取り組むなかで、3つの事業—「CSR/CSVコンサルティング」「ネイバーフッドデザイン」「ソーシャルフットボール」—を確立させてきた。創業当時から受け継がれている大切な想い、そして各事業の背景とは—?

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NEIGHBORHOOD DESIGN 1

"HITOTOWA"に込めた想い

「課題」を解決する手段としての地縁コミュニティ

ネイバーフッドデザインとは、近くに住む人々どうしの信頼関係づくりを通して、都市のさまざまな社会問題を解決していくことです。

2007年、住宅会社の中でCSR専門部署を立ち上げ、その中でマンションコミュニティづくりに取り組み始めたのが、僕のネイバーフッドデザインのスタートでした。

マンションコミュニティづくりを始めた背景は2つあります。

ひとつは、挨拶すらない暮らしを提供しているのはどうなのか、と思っていたこと。僕は埼玉県川口市の団地で育ってきたんですが、子どもの頃は近所の友達と遊ぶことができ、大人たちと挨拶を交わせて、毎日の暮らしがすごく楽しかった。でも、僕らの提供しているマンションで育つ子どもたちは、そういう暮らし方ができるのだろうか? そう考えたとき、疑問に感じてしまったんです。

ネイバーフッドデザイン荒が少年時代に過ごした埼玉県川口市の団地。このときの近所との関係性が原体験だと言う。

もうひとつは、環境負荷を削減するための、環境共生住宅がつくりたかったこと。省エネ・創エネ以外で環境負荷削減の方法としてあげられるのは、モノを共有するか、菜園などで緑を増やし、かつ自分たちの食べものもまかなう「シェアと農」です。ただ、これらはどちらも、コミュニティが土台にあるからこそ、その仕組みが活用されるということに気づきました。

もちろん相互に関係はありますが、菜園を用意した、シェアの場所を用意したと言っても、それだけではシェアも菜園も利用されないし、コミュニティも育まれない。やっぱりそこには「コミュニティづくりのしかけ」、つまり「ネイバーフッドデザイン」が必要なんですね。

これら2つの背景が、マンションコミュニティに興味を持ったきっかけです。単純に人とつながること自体を目的とするのではなく、環境問題や人の無縁化、防災・減災、子育て問題など「課題」を解決する手段としての地縁コミュニティ。

これに可能性を感じて数々のプロジェクトに取り組み、今ではHITOTOWAを代表する事業として、ネイバーフッドデザインにおけるHITOTOWAメソッドが確立するまでとなりました。

ネイバーフッドデザイン住宅会社の20周年記念イベントにおけるマンション防災に関する講演会の様子。

ネイバーフッドデザインが解決する「課題」とは

現代はみなさんご存知の通り、核家族やDINKS(共働きで子どものいない夫婦)、そして単身世帯が増え続けています。将来的に考えれば、DINKSも潜在的な単身世帯。単身で長寿に暮らすというのが、日本の都市の未来像なんです。血縁というつながりで見ると、今もすでに孤独な社会ですが、今後はもっと孤独になっていくと考えられています。

そんななか、例えば大震災が起きたら。近所に助けが必要なこともあれば、避難生活をともにする必要もあるかもしれません。いざというときに互いに手を差し伸べ合える、そんな関係が普段から身近にあると、日常生活の安心感が高まります。

また、子どもがいる家庭も含めて共働きの世帯も増えていますよね。自分たちが家にいないとき、子どもたちをどうやって守るか、有事のとき、近所に頼れる仲間がいるか。さらにはご高齢の方のひとり暮らしや、認知症の方の徘徊などにも目を配り、地域で支え合うことができるかどうか。

こうして見ると、近所のつながりがあることで安心に暮らせることが、実はたくさんあることに気づいていただけるはずです。

ネイバーフッドデザインマンション住民に向けた防災ワークショップの様子。参加しやすく、かつ本質的な内容のワークショップに定評がある。

マンションの防災減災研修を行う、
Community Crossing Japan

なかでもマンションの防災減災については、東日本大震災後に「Community Crossing Japan(以下CCJ)」というプロジェクトを立ち上げました。現在は各地でのマンション防災ワークショップ、また大手デベロッパーへの防災コンサルティングを展開しています。

現代の都市では、ただでさえ不足している避難所の規模に対して、実際に収容しなければならない人数が多すぎるんですね。すると、指定避難所ではない場所で生活する方も大勢出てくると予想できます。

また、指定避難所には建物が利用できない方から収容されるべきなので、倒壊の可能性が低いマンションにお住まいの方は、おのずと自主的に避難生活を送る可能性が高い。そのとき、そのマンションがセーフティネットになれるかどうか。ここでカギを握るのが、住民一人ひとりが準備すべき自助と、管理組合や地域との互助・共助。それらを自分たちで行うことのできる「よき避難者」を育成することが大切です。

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