KEEP CHALLENGING FOR “HITOTOWA”

「人と和」のために挑み続ける

HITOTOWA INC. 代表 荒 昌史

2010年12月、HITOTOWA創業。3ヵ月後には東日本大震災が起き、日本中にあらゆる社会課題が噴出した。その途方もなさに、一時は「圧倒的な無力さを感じた」という荒。だが、それまでに自ら立ち上げ推進してきたNPO GoodDayやCSR部署にて培ってきた経験をもとに、東日本大震災の復興や新たな仕事に取り組むなかで、3つの事業—「CSR/CSVコンサルティング」「ネイバーフッドデザイン」「ソーシャルフットボール」—を確立させてきた。創業当時から受け継がれている大切な想い、そして各事業の背景とは—?

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NEIGHBORHOOD DESIGN 2

"HITOTOWA"に込めた想い

リアルな実例に基づき、住民主体で考えるワークショップ

僕らの防災研修は「住民の主体性を育むので取り組みがいがある」とよく言ってもらえます。家具の転倒防止から、避難生活における環境整備、トイレ、水・食糧、医療、情報—。それら広範囲の分野に渡って、大震災のリアルな実例を示しながら、住民と一緒に考える。そんなワークショップを基軸としているからだと思っています。

今は新築マンションの依頼が多いですが、今後は既存マンションへも展開できるよう、新規事業も検討中です。それは、可能な限り多くのマンションに「よき避難者」を増やしていきたいと考えているから。

東日本大震災のとき、僕は本当に怖かったんです。今もあの恐怖感を忘れないようにしています。それに、被災した方々にたくさんのことを教わりました。これからも、災害はいつ自分たちの身に降りかかるかわからない。僕らには「教訓」が残されるべきなんです。

また、災害時に必要な「共助」のしくみは、孤独な子育てやひとり暮らしの高齢者の増加など、人の無縁化という社会課題の対策にもつながっていきます。CCJやネイバーフッドデザインを通じて、防災減災の徹底から、人の無縁化の防止まで、進化して事業を展開していきたいです。

ネイバーフッドデザインマンションにおけるクリスマスパーティーの様子。このときは住民自らが料理をつくり、場を盛り上げた。

プライバシーを前提とした“ほどよい”つながりを

ところで、「つながり」や「コミュニティ」というと、よくプライバシーの“対”の概念だと思われるのですが、実はまったく違うと考えています。生活の前提として、プライバシーは当然守られている。そのうえで、ひとり、もしくは一世帯では達成できないことをみんなでやろうよ、というのがネイバーフッドデザインのあり方です。

例えば長屋やシェアハウスでは、プライバシーとパブリックで分割すれば「共」や「公」、つまり「パブリック」が強い。それに比べて、プライバシーが担保されているマンションだからこそ実現できる、“ほどよい”コミュニティの形があると考えています。

僕自身も、そんなに「濃い」つながりは得意ではありません。でもやっぱり、近くに住まう人をまったく知らないのは不安です。今住んでいる集合住宅はみんな知り合いなので、東日本大震災のときも、すぐに近所の人と話せてよかったなと実感しました。

もちろん、濃いつながりを求める人には濃い参加方法を用意するし、一方であまり縛られたくないという人には気軽な参加方法を用意する。多様な参加方法から、その人にあった参加方法や頻度を選べるようにする、というのがHITOTOWAの考えるネイバーフッドデザインの特徴だと思います。

ネイバーフッドデザインマンションの共用設備を利用した炊き出し訓練の様子。設備や備品を住民と実際に使用することに意義があると言う。

ネイバーフッドデザインを通じて、
市民の力で社会課題を解決していく未来へ

きっかけは「マンションコミュニティ」でしたが、なぜわざわざ言葉を変えて「ネイバーフッドデザイン」と言っているかというと、そこにも理由があります。

それは、集合住宅の「中」だけではなくて、集合住宅を軸とした「地域」との関係性もとても大切だと思うようになったからです。

例えば災害が起きて外へ避難が必要になったとき、地域と連携がとれていないと意味がありません。マンション内だけで対策していても不十分ですよね。同様に子育ても、高齢化も、どの課題についても地域との良好な関係性が不可欠です。

すでに今取り組んでいる西東京の団地再生プロジェクトや、都心のタワーマンションのプロジェクトなどでは、HITOTOWAがハブとなり、「集合住宅」と「地域」のほどよい関係性をつくる役割を担っていきます。

どのような人々が住み、どんなことをやるか。これによってどんな住まい、どんな街になるかが変わります。ネイバーフッドデザインを通じて、「市民の力で社会課題を解決していく未来」をつくっていきたいですね。

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