2020-06-30

#13 国境をこえて、新型コロナ対策を学び合う

こんにちは、HITOTOWAの寺田です。2020年4月7日、新型コロナウィルスによる緊急事態宣言が発出され、全国で解除されるまでの約2ヶ月間、皆さんはどのように過ごしていらっしゃいましたか?

有り難いことに、私は完全在宅という勤務環境に恵まれ、社内メンバーとはオンラインで時間と気持ちを共有しながら、日々を過ごすことができました。何より心強かったのは、刻一刻と変わる状況の中でも、リアルタイムで建設的な話し合いができ、信じられる「行動指針」を持てていたことです。

ただし、緊急事態宣言が解除されようとしている中では、HITOTOWAとして「今後どのようにして新型コロナを地域で乗り越えるか」を考える必要がありました。そこで、早い段階で感染拡大の影響を受けた中国における先進事例を、現地の仲間から学ぶため、オンライン勉強会を開催したことが企画の始まりです。

イベントタイトルにもある「まちぐるみ防災」は、その時に中国の仲間から学んだことでした。まだ不安が残る状況の中、国境をこえて熱いメッセージとエールを日本に届けてくれた、その想いを引き継ぎたい。ある種の使命感を胸に、今回のチャリティイベント企画に至りました。

企画背景はこちらから↓
#11 中国のまちづくり有識者との交流

「日中まちぐるみ防災会議」@オンライン開催レポート

前段が長くなりましたが、6月5日に開催した「日中まちぐるみ防災会議– エリアマネジメントと新型コロナ – 」をレポートしていきます。はじめにHITOTOWA代表取締役の荒より、イベントの趣旨説明がありました。そこでは、日本と中国のにおける感染対策の違いとして
・日本は、「個人」あるいは「世帯」単位での感染対策
・中国は、「集合住宅」や「社区」というコミュニティ単位での感染対策
という特徴があり、第二波・第三波に備えては、国を超えて助け合い、情報や学びをシェアしていくことが大事であること。さらに、地域に住まう市民同士が国をこえて学び合い、地域で実践していくことが「新型コロナを乗り越える」ために必要なのではないか?というメッセージとともにスタートしました。

普段からのつながりを、オンラインに変換していく


最初の登壇者は、南京助け合いコミュニティ発展センター理事長の吴楠氏。中国国内30以上の都市で地域の自治会と市民団体のまちづくりに対してトレーニング・指導を行なってきた、まちづくりの第一人者です

今回のコロナ禍で、どのようにして集合住宅・地域単位で新型コロナ対策を行ってきたのか?南京にある「翠竹园社区」を事例にお話しいただきました。

「翠竹园社区」は、2777世帯が暮らす住宅地であり、団地内には管理会社、管理組合、居民委員会の他、170の市民団体とNPO組織が存在しています。まとまったエリアに開発された日本の住宅団地に近い構成ですが、一つ異なるのは、「居民委員会」の存在です。居民委員会とは、「社区」と呼ばれる、まとまった住宅地エリアを単位として設置される住民主体の自治組織でありながら、行政機関の指示に沿って地域社会における生活サービス全般を展開し、日頃から行政補助機能を担っています。より行政サービスの一端として活動を行なっている町内会という印象を受けました。

コロナ対策としては、まずロックダウンから1週間後には各組織が集まり会議を開催、話し合いながら役割分担を進めていったとの話がありました。日頃からのつながりがないと考えられないスピード感ですね。

そして、この連携体制および役割分担を機能するために活用されたのが、LINEと同機能を持つ「Wechat」というオンラインツール。コロナ対策として、目的別にチャットグループが複層的かつ横断的に立ち上げられ、情報共有や伝達だけでなく、専門家への相談、課題の把握・検討、メンタルフォロー等手厚いサポートが行われていました。一方通行型ではなく、双方向型のオンラインツールであったことも重要なポイントです

ここで、NPO団体に焦点を当てて役割整理をしてみます。
 ・プラットフォーム(5段階チャットグループ)の立ち上げ
 ・自粛生活に必要な地域情報の収集および配信(物資調達先など)
 ・住民チャットグループへの加入促進、議論フォロー、デマ対策
 ・住民ボランティアの呼びかけ、マッチング
 ・オンライン講座の開催、市民団体へのオンライン活動サポート
以上から、日頃からのつながりをベースに、オンラインとオフラインを柔軟に切り替えながら、組織と市民をつなぐ中間支援的役割を果たしていたことがわかります。まさに、まちづくり団体だからこそできることです

オンラインで孤島をつなぎなおす。大切なのは楽しむこと。


続いての登壇者は、東京都立大学博士課程でまちづくりを学んだ金静さんです。上海を拠点に、さまざまな専門分野の人たちが集まり、副業として住民主体の「まちづくり」を支援するNPO団体「Big Fish Community Design Center」を設立。持続可能なまちづくりを目指し、市民との対話を大切にしながら様々なコトや場づくりを行なっています。

金さんからは、コロナに際して感じた「オンラインによるまちづくりの可能性」を実現するために同団体が立ち上げた社区防疫助け合いネットワーク(CANプロジェクト)」についての紹介がありました。

コンセプトは、「弧島をつなぎなおす」。今年2月の立ち上げから現在までで、300人規模のオンラインコミュニティを結成。20以上のチームが立ち上がり、「都市生活防疫パッケージ」「反偏見キャンペーン」などの防疫ツールキット製作、14日間の在宅期間を楽しむためのクラウド芝居の創作など、具体的な取り組みに発展していきました。

紹介されたツールや活動は、ネーミングやデザインに面白さを兼ね備えており、思わずクスッと笑ってしまうほどです。住んでいる地域や年代、専門性が違う人たちが、オンラインで同じ課題を共有し、対話を重ね、それぞれが持っている技術で課題解決=デザインの提案を行なうことで、ちょっと面白くて本質的な課題解決の方法が見つかることを、改めて教えていただいた気がします。

有事の時こそ、「顔の見える情報」


最後の登壇者は、東京都西東京市にあるひばりが丘団地周辺のエリアマネジメントを行う一般社団法人まちにわ ひばりが丘事務局長の若尾さんです。まちにわ ひばりが丘ではコミュニティ施設「ひばりテラス118」を中心に、イベントやカフェ・花屋のテナント運営、レンタルボックス事業など、住民主体の様々な活動が行われてきました。

緊急事態宣言が発出され、コミュニティ施設が閉鎖・活動自粛せざるを得ない状況の中でも、LINEやメールグループを通じて住民の方の声に耳を傾け、コロナ対策情報発信ポータルサイトの立ち上げ、オンラインツール講習会、集合住宅におけるコロナ対策情報提供会等、オンラインを活用した取組みが行われていました。

中でも、コロナ対策情報提供会は、多くの家族が暮らすマンションでのコロナ対策が十分ではないことに課題を感じ、専門家を招いて実施。有事においては、管理組合や管理会社の機能が停止する可能性があり、その時にエリマネ団体が果たすべき役割として重要な取り組みであったように感じました。

一方、事業再開に向けては、エリマネ団体としてどのような対策方針を示していくべきか?人が集う「場」の運営者が誰もが悩んでいると思います。まちにわ ひばりが丘では、国や行政の指針に基づき、事業内容ごとにリスクマネジメント評価を行う方法を取っており、実際に活用しているツールのご紹介もありました。この表があることで、現場スタッフが個人の判断に迷うことなく、住民の方に説明できることが大事ですね。

「まちぐるみ」での防災を


事例紹介後のトークセッションではHITOTOWAの荒がファシリテーターを務め、和やかな雰囲気の中で、学びのふりかえりが行われていきました。冒頭、新型コロナ対策における日本と中国の違いを挙げましたが、日本においては「まちぐるみ」のコロナ対策ができていなかったことが課題として挙げられました。一方、エリマネ団体を中心に、組織ではない日頃からのゆるい関係が地域に多く存在し、いざという時に地域課題の把握、対策の検討・実施において機能したことは、「顔の見える関係」の大切さを改めて実感できるエピソードでした。

有事の時には、本当に知りたい身近な情報ほど見つけにくいものです。また、地域によって課題やニーズも異なる中で、どの情報を信じていいのか、誰に助けを求めればよいのか、不安になります。これから私たちができることは、個人ではいざという時に助け合える、顔の見える関係づくり。そして、地域団体や組織では、有事を想定し「まちぐるみ」で話し合っておくことが必要なのではないでしょうか
  
最後になりますが、当日イベントにご協力いただいた皆さま、そしてご参加いただいた皆さま、本当にありがとうございました。HITOTOWAは、これからも新型コロナウィルス対策に真摯に向き合い、そして乗り越えるために、「まちぐるみ防災」の実現にチャレンジしていきます。

(HITOTOWA INC. 寺田佳織)

※みなさまから頂戴したイベント参加費は「コロナ対策支援金」として、26,000円(Peatix手数料を除いた全額、端数切り上げ)をNPO法人POSSE(外国人労どうサポートセンター)様へ寄付いたしました。

※当日はCHICACU Design Office & Bookstore 直井薫子さんにグラフィックレコーディングを行っていただきました。こちらから拡大してご覧いただけます。

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人と和のために仕事をし、企業や市民とともに、都市の社会環境問題を解決します。 街の活性化も、地域の共助も、心地よく学び合える人と人のつながりから。つくりたいのは、会いたい人がいて、寄りたい場所がある街。そのための企画と仕組みづくり、伴走支援をしています。

http://hitotowa.jp/

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