2022-09-27

#28 戸越銀座商店街発! 「防災街づくりフェア 」と、その思い。

この7月、東京都品川区の戸越銀座商店街にて、「防災街づくりフェア」第1弾として「まちなか防災訓練」を行いました!

これに続き、秋には「まちなか防災フェスティバル」および「まちなか防災サッカー」が控えています。

はじめまして、HITOTOWAの鳥山です。今回は私が担当する、戸越銀座商店街における防災・ソーシャルフットボール事業の取り組みについてご紹介します。

そもそもなぜ、戸越銀座商店街は「防災」に力を入れているのか。そして「まちなか防災訓練」の背景にある、商店街の方々の思いとは──?

今回はそのあたりに触れつつ、HITOTOWAとしてもソーシャルフットボール×ネイバーフッドデザインという事業横断的な初の取り組みである本企画について、お話ししたいと思います。

より、住民のためになることを。

ところで、皆さんは戸越銀座商店街をご存知でしょうか?

関東の方なら、安くておいしいお店が並ぶ下町情緒あふれる商店街として、足を運んだことのある方も多いかもしれません。また全長1.3kmと、“関東で一番長い商店街”として聞いたことがある方もいるかもしれませんね。
 

 
そんな戸越銀座ですが、実は「木造住宅密集地域(木密地域)」であり、首都直下地震が発生した場合に、地震とそれによる火災など大きな被害が想定される地域でもあります。また木密地域のうち、特に重点的・集中的に改善を図る地区、「不燃化特区」にも指定されています。

こうした状況から、戸越銀座商店街は約10年かけて品川区と電柱地中化への取り組みを実施。また4年ほど前から、家の建て替えサポートを行っているパナソニックホームズ株式会社と連携し、「防災街づくりフェア」を行ってきました。

加えて、2020年からはコロナ禍における変化も。

コロナ禍当初、商店街は人が減るかと思いきや、戸越銀座商店街では逆に来街者が増えたそう。その様子がニュースに取り上げられると、ますます来街者が増加。感染防止の点から、地元の住民の方々からは厳しい苦情の声が寄せられたといいます。

これを受け、商店街の方々は真剣に話し合いました。そして、「今後はよりいっそう、地元住民の方々のためになることに重きを置いていこう」と決意したのです。

“では何をすれば、もっと本質的に『住民の方のため』になるのだろう?“。

考えていくなか、木密で不燃化特区という地域課題とも結びつき、たどり着いた答えが、住民の安全・安心な暮らしにつながる「防災」というテーマでした。

かつて東日本大震災の際には、戸越銀座商店街を通る帰宅困難の方々に対し、お店の方が食事を提供するような光景があったのだとか。そうした状況がまた訪れたときにも、自分たちができることを考え、助け合えるようにしていきたい──。そんな思いからも、各商店の防災意識を高めていくのは大事なことだと考えたのです。

これからは防災にもっと力を入れていこう。その流れで、サッカー防災®「ディフェンス・アクション」にも興味を持っていただき、2021年よりHITOTOWA も防災まちづくりに関わることになりました。

時代を捉え、柔軟に舵を切る商店街

まずは2021年11月、戸越小学校の校庭にて、戸越銀座商店街主催の「親子で楽しむ防災サッカー」イベントを実施しました(当日のレポートはこちら )。
 

イベント終了後、商店街やパナソニックホームズの皆さんと腰を据えて話し合うなかで、わかったこと。それは皆さんの「住民のためになることと、継続性が一番大事。今後も定期的に防災イベントを行い、住民どうし、そして住民と商店・事業所が、顔の見える関係となるような取り組みをしていきたい」という真剣な思いでした。

実は以前、戸越銀座商店街では毎年8月に大きな夏祭りを行っていましたが、コロナ禍で、数年間は中止になっていました。

そして情勢が落ち着きつつある2022年、「その夏祭りをアップデートさせてはどうか? 楽しい要素は入れつつ、防災というテーマのもと商店街を使ったイベントとして実施してはどうか?」という意見が出始めます。

話し合いの結果、前述の「住民の方々のためになること」に重きを置くという決意もあり、新たな防災イベントへと舵を切ることにしたのです。

そこで今年は、7月・10月に商店街を舞台にした「まちなか防災訓練」、加えて11月には、2度目となる防災サッカーイベントを行う運びとなりました。

時代を捉え、「未来の商店街づくりに必要なものは何か」を問い、「自分たちのところはこうしていくべきだ」と柔軟に役割を変えていく戸越銀座商店街の姿は、個人的にとても印象的に残っています。

「まちなか防災訓練」、大盛況!

そして迎えた、今年7月の「まちなか防災訓練」。

パナソニックホームズや荏原消防署、品川区などとも協働し、防災紙芝居&クイズや、夏の盛りの打ち水にもなる水消火器訓練、まちかど防災展示車の展示や放水体験、地震体験車による地震の揺れ体験など、たくさんのコンテンツを実施しました(当日のレポートはこちら) 。
 

 

 
 

 
 
子どもたちからは「初めての体験で、楽しかった!」などの声、大人の方々からは「身近な場所で防災を学べてよかった」「備蓄を見直そうと思った」等々の声をいただき、大成功に終わりました。

ただ商店街や、協働したパナソニックホームズ、そしてHITOTOWAが本質的に目指しているのは、一度切りのイベントではなく、あくまで「継続」していくこと。その先で、住民、商店・事業所どうしにもつながりと愛着が育まれてゆくこと。そして戸越銀座というまちが、「住みたいまち」から「住み続けたいまち」になることです。

7月のイベントではその視点から、今後の運営基盤となる、商店街、パナソニックホームズ、HITOTOWAなど関係各位のチームづくりに重きを置きました。

関係性を深めた運営チームで話し合いを重ねつつ、10、11月にはパワーアップした「まちなか防災フェスティバル」および「まちなか防災サッカー」を計画中です。

いざという時、「あの時やってよかったね」と思えるように。

戸越銀座商店街やパナソニックホームズの方々とお話ししていると、皆さんが本当に「『住民の方のための商店街になるには』と本質を考えたうえで、決断しているのだな」ということをたびたび実感させられます。

10月のイベントに向け、参加者やコンテンツをどう増やしていくか、という方向でご相談をしていたときのこと。商店街の方から、こんな言葉をもらいました。

参加者を増やすことより、防災の生きた知識をしっかり伝えることを重視したほうがよいのではないか。もし災害が起こったときに『あ、あの時やってよかったね』と思ってもらえるようなイベントにしたい」。

そのコメントをいただいたとき、ハッとしました。今後企画を考えていくうえで外してはいけない大事な部分だと、思いを新たにしたことを覚えています。
 

 
また、この戸越銀座商店街における防災・ソーシャルフットボールの取り組みは、HITOTOWAの事業としても、ソーシャルフットボール事業と、ネイバーフッドデザイン事業をつなげる横断的な初めての事例になると感じています。

ゆくゆくは他の地域や商店街にも楽しみながら防災・減災の輪を広めていけるよう、取り組みを進めていきたいです。

 
“安心して暮らせるまちを、人と人とのつながりを通してつくっていきたい”。

そんな思いを持ってHITOTOWAへ入社した自分にとって、この取り組みに携われることは大きな喜びですし、そのまちづくりを「応援したい」純粋な気持ちが、今の自分の原動力にもなっています。

この企画は、まだ始まったばかり。企画がどんな変化を遂げていくのか、またその先で、まち自体や、まちの中の関係性がどう変わっていくのか、楽しみでなりません。

秋の防災イベントや今後については、年明けごろにご報告予定です。お楽しみに!

(HITOTOWA INC. 鳥山あゆ美)
 
 

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人と和のために仕事をし、企業や市民とともに、都市の社会環境問題を解決します。 街の活性化も、地域の共助も、心地よく学び合える人と人のつながりから。つくりたいのは、会いたい人がいて、寄りたい場所がある街。そのための企画と仕組みづくり、伴走支援をしています。

http://hitotowa.jp/

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