2026-05-27

 #39 【NDたんきゅう会】若手メンバー3名が語る、現場の“モヤモヤ”と言語化から生まれる“気づき”

HITOTOWAの「How We Work(人と和のために働く、とは)」を体現する社内の取り組みの一つ、「NDたんきゅう会」。ネイバーフッドデザインという正解のない領域において、若手社員は現場で直面するリアルな「モヤモヤ」をどう受け止め、仲間との対話を通じて「気づき」に変えているのでしょうか。

今回は、発起人である入社数年目の社員3名(石井葛山草田)と、ファシリテーターの田中による座談会形式で、HITOTOWAの風通しの良さや、一人ひとりの成長を支える土壌について紐解きます。

■対談者紹介

石井隆真(写真左):プランナー。大学では造園学を学び、卒業後は庭師に。2024年にHITOTOWAに入社。ひととわ不動産を担当後、現在は首都圏でネイバーフッドデザイン事業を担当。

草田彩夏(写真中央):チーフプランナー。新卒入社した会社ではこどもの発達支援、療育に従事。その後佐賀県にて地域おこし協力隊として、こどもの居場所づくりに関わる企画立案や事業運営、市民の伴走支援を担う。任期満了に伴い2025年にHITOTOWA入社。

葛山大輔(写真右):プランナー。中学校教員、大学向けキャリア教育を行う人材コンサルティング会社を経て2025年にHITOTOWAに入社。関西にてネイバーフッドデザイン事業を推進している。

・聞き手:田中宏明(ディレクター ネイバーフッドデザイン事業担当 )

同期で始めた「NDたんきゅう会」とは?

──今日は「NDたんきゅう会」についていろいろと聞いていきたいのですが、そもそもどういうきっかけで始まったんでしょうか?

葛山はっきりとしたきっかけかは定かではないですが、社内の他のメンバーがラジオ企画をやっていたという話を聞いて、すごくいいなと思ったんです。いろんなメンバーを招きながらHITOTOWAのことを理解していくのが面白いと思って。

僕らはそもそも「ネイバーフッドデザイン(ND)とは何だろう?」という疑問を持っていたので、まずは3人で話しながら”探求”してみる機会が欲しいなと思っていました。

「ネイバーフッドデザイン」の考え方については、入社前に書籍『ネイバーフッドデザイン』で触れて、記事を見ながら面白いなと思っていたんです。でも実践する側になったら探求し続けるってことがすごく大切なんじゃないかなと思っていたので、最初のうちは僕から話題を振っていましたね。

草田同じタイミングで入社し、同世代である私たちは仕事面でのモヤモヤを話し合う場としてスタートしました。

一番最初は、「ネイバーフッドデザイン」って何なんだろう、ということを言語化しようとしていましたね。「ネイバーフッドデザインメソッド」と整理されているもので理解しているけど、それは実際にどう使えるのかとか。

ネイバーフッドデザインメソッドを表現した図

石井言葉の定義についても話していましたね。普段何気なく使っている「賑わい」とはどういった状態なんだろうとか。

ネイバーフッドデザインを事業としてやってきた先輩たちの中では「あるある」な基本的なことでも、社歴の浅い自分たちにとっては「あるある」ではないんですよね。だからこそ、この会は「これってあるあるなんだよね」とお互いに確かめ合う時間だったのかなと振り返って思います。

現場でぶつかった壁、それぞれの「モヤモヤ」の正体

──現場で感じる「モヤモヤ」には、具体的にどんなものがあったんですか?

葛山僕はシンプルに、普段「どんな仕事をしてるの?」と聞かれたときに、仕事の価値をうまく言語化できないことにモヤモヤしていました。デベロッパーや町内会・自治会の支援など、業務を並べると長くなってしまって、自分でも「長いな」と。この面白い仕事の価値を伝えられるはずの機会をもったいなくしているのではないかなと感じていました。

答え方の正解は今もわかってないですが、相手によって伝え方を変えたり、相手から興味を持って質問を引き出せるような工夫もあるんだと2人とやり取りしながら、柔軟に考えられるようになりました。

草田私は、「コミュニティ」や「活性化」といった、言葉の曖昧性へのモヤモヤがありました。人によってその言葉を使う文脈が違うのに、すり合わせずに会話をしてしまっているジレンマがあったんです。「なんとなくコミュニティっていいよね」という共通見解はあっても、なぜいいのかという深掘りの作業をあえてしないことへの違和感がありました。

自分でもあまり深く考えずに多用してしまう言葉は普段からあると思っています。前職でこどもの居場所づくりに関わる中でも「居場所」という言葉をよく使っていましたが、その定義を確認していないと人によって捉え方に齟齬が生まれると感じていました。

石井このたんきゅう会の場ではフラットに3人でそういった話ができるのがいいですよね。

自分は、現場でさまざまな企画やイベントを運営していく中で、
「これって単なるイベント開催になっていないか?」「果たしてこれで本当に良いのか?」
というモヤモヤを感じることがありました。町内会やデベロッパーなど、多様な主体が関わる中で、交流会イベントや自己紹介、ビンゴ大会などを通じて“交流”自体は生まれます。

ただ、数多くの企画を担当する中で、「このイベントによって何が残ったのか」「どんな変化につながったのか」と、成果や意味について考える場面が増えていったんです。

「モヤモヤ」をシェアして得た、視界が開ける「気づき」

──そうしたモヤモヤをこの場で話してみて、プロジェクトに役立ったり、自分の視界がクリアになったりしたことはありましたか?

石井2人に話していくうちに、イベントは目的ではなく、出会いの「機会の提供」なんだなと再認識できました。それがきっかけで、ウェルカムパーティー(入居者懇親会)などのイベントへの目的意識も明確になり、半年ほど前とは全然違うやりがいを持って取り組めるようになりました。

自分にとっては複数回あるイベントの一つですが、参加者さんにとっての貴重な交流の機会の一回を丁寧に企画運営することを心がけています。

イベントを重ねる中でも「石井さん」と名指しで呼ばれるようになったり、お子さんのいるご家庭同士で見守りし合ったりするのを見て、これが他のメンバーが言っていたNDの「あるある」なんだなと実感しましたね。

葛山僕は関西担当で他の2人は関東担当なので、お互いのプロジェクトを共有する回があったんです。そこで東京都の公園を活用したイベントの事例を聞いて、住民の巻き込み方やストーリーの考え方を直接担当者から学ぶことができ、自分の担当プロジェクトの計画に活かすことができました。

資料だけ見ていても見逃してしまうような視点や推進しているからこそ語れる背景を、担当者本人からしっかり聞けるのは重要ですね。

草田そこにHITOTOWAの課題もあると思っています。チームで動いていることや遠隔で仕事をしていることもあり、イベントを含めプロジェクトのやった結果や事実のみの共有にとどまってしまい、各プロジェクトを一段深く掘り下げて価値を伝えることはなかなかできていないですよね。

そういった意味でこの3人の場は、曖昧な「ND」という概念を捉えるにあたって、なんで良かったんだろうとリフレクション(振り返り)するきっかけになっています。自分たちのやっていることが本質に近づいているか、確かめ合う場になっていると思います。

プロジェクトの「物語性」を共有し、あえて「問い」を立てる

──今後、会社全体として解決したい課題や、この会を通じてやっていきたいことはありますか?

草田2つあります。1つは、各プロジェクトの「物語性」や「文脈」をもっと社内外に発信していくこと。例えば以前たんきゅう会でシェアしてもらったのが、名谷TOCOTO PROJECTで参加者のみなさんと一緒に紙飛行機を飛ばした話です。

名谷での紙飛行機企画の様子

葛山名谷TOCOTO PROJECTの中の「トコトラボ」という、地域住民の「やってみたい」を形にする全5回のプログラムの中で発案されたのが紙飛行機企画です。

きっかけは「どの世代でも親しめる企画って何かないかな?」という参加者の問いから。「多世代が集まれる広場になったらいいよね」という共通の想いがあり、そこから「紙飛行機だったらどの世代でも親しみやすいのではないか」というアイデアが出てきました。
シンプルな企画ながら、トコトラボの参加者と一から一緒に準備を進めるうちに、少しずつ主体的な動きが生まれ、結果多くの来場者・出店者の方々と紙飛行機を飛ばすことができました。

草田この話を聞いて、本質を伝えるために、「紙飛行機を飛ばしました」という結果だけではなく、それがどういう物語を持った上での結果なのかも含めて発信できるといいなと思いました。

もう1つは、あえて批判的に「本当にこれでいいんだっけ?」と問いを立てる議論の場を作ることです。HITOTOWAは似た価値観を持つ人が集まっているからこそ、深く、正面から議論したり意見を出し合って多様性を生む対話が必要だと感じています。

葛山仕事の打ち合わせだと「このタスクをどう進めるか」という会話になりがちですが、NDたんきゅう会では大前提の話や哲学対話のようなことができるのが嬉しいんですよね。

こういう業務と直接関係のない対話の場が社内に他にもあったら、例えば業務のノウハウ化が進んだり、多様なアイデアがより出てきたりするんじゃないかと思います。

──社内でも展開していきたいですが、この3人だからこその会話もありますよね。

石井確かに、たんきゅう会を通じて、担当プロジェクトが違うメンバーのパーソナルな部分や得意分野が見えてくるのも大きなメリットですね。

役割の垣根を越えて、お互いにサポートできる関係性があることで、日々の業務連携もしやすくなっていると感じています。

実際に最近、草田さんと同じプロジェクトを進める中でも、互いの動き方や考え方への理解があることで、以前よりスムーズに進行できている実感がありました。

──3人の絆が深まってきていると感じられるインタビューでした! では最後に、NDたんきゅう会のこれからについて教えてください!

葛山3人がそれぞれプロジェクトの話をするのもいいのですが、一つのプロジェクトについてしっかり話してもらうと、関係者の座組や始まった経緯なども詳しく聞けるので、今後はそういった形式でもやれるといいなと思っています。

草田無理せず続けていくのが一番大切ですよね。毎回のテーマを明確に決めているわけではないので、シンプルに「この3人で勉強したい」「とてもいいと思うから伝えたい」と思ったトピックを共有していきたいです。

石井これからも、正解やセオリーを探すというより、現場で起きていることを丁寧に持ち寄りながら、その時感じた課題を一緒に“たんきゅう”していける場になっていったら嬉しいです。

──社内の他のメンバーも参加したりする発展型も面白そうですが、この3人の素敵な場をぜひ続けていってください!今日はありがとうございました。

———

話を聞きながら、日々の業務から少し離れて、心理的安全性の高い中でモヤモヤを言語化し、目線を合わせられる関係性づくりの素晴らしさと、対話を通じて、HITOTOWAの経営理念の「自律と学習」をそれぞれが実践していることを強く感じました。

自分の現場や実践を持ち寄りながら、お互いに問いを投げかけ合い、学び合い、また現場へ持ち帰っていく。そんな循環が、HITOTOWAらしい学びの形になっています。
こうした「対話」の場や居場所が社内にあること自体が、一人ひとりが楽しみながら成長し、「人と和のために働く」ための豊かな土壌になっていると改めて実感しました。

(HITOTOWA INC. 田中 宏明)

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HITOTOWA

人と和のために仕事をし、企業や市民とともに、都市の社会環境問題を解決します。 街の活性化も、地域の共助も、心地よく学び合える人と人のつながりから。つくりたいのは、会いたい人がいて、寄りたい場所がある街。そのための企画と仕組みづくり、伴走支援をしています。

http://hitotowa.jp/

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