2020-04-16

#9 手をとりあう、新しいマンション防災

マンションでの被災生活を想像し、行きついた先に

HITOTOWAの宮本です。前回は、被災された方の声に寄り添うことで気づいた「災害時におけるマンション特有の不安」についてお伝えしました。

前回は2018年9月に発生した台風21号を例にあげましたが、その後も災害はつづいています。2019年の台風19号では、各地のマンションで停電・断水の被害が発生しました。

また風水害による被害に限らず、大阪府北部地震や北海道胆振東部地震など大規模災害が頻発しています。これは皆さんも感じていますよね。


(2018年9月に発生した台風21号による停電の様子)

そんな中HITOTOWAでは、京阪電鉄不動産株式会社様より「防災に関心を示す居住者の声に、デベロッパーとして応えたい」というお話をいただきました。

そこでまずは、現在マンションで行われている防災の取り組みを調査することからスタート。その調査の中で、気づいたことがあります。

それは、管理組合や各世帯が「それぞれ別々に」防災活動に取り組んでいること。かつその内容も、防災訓練や対策、備蓄など「部分的に切り出された」活動が多いということでした。

これらの調査結果をふまえて誕生したのが、京阪電鉄不動産のマンション防災プログラム「FINE BOX」です。その背景には、「これまでにないマンション防災をつくる」という強い思いがあります。

「FINE BOX」は、大規模災害が発生しても、安心・安全につつまれながらマンション内の被災生活をおくることを目指しています。

そのためには、「デベロッパー」「管理会社」「住民(管理組合)」という三者の役割を、日頃から明確にすることが大切だと考えました。

そこで防災に必要なしくみを「ささえる」「そなえる」「はぐくむ」という3つのプロセスに分け、常時から三者がそれぞれの役割を果たし、手をとりあいながら大規模災害に備えていこうと決めたのです。

役割を明確にすることでみえた防災

まず「ささえる」は、建物や設備など、ハード面で「災害に強い暮らし」の基盤をつくること。デベロッパーが安全・安心に配慮したマンションを建設し、被災生活も考慮した環境を整えます。

そして「そなえる」は、防災グッズや防災パンフレットなどの提供。デベロッパーが、マンション内の被災生活を想定したオリジナル防災バッグと、対象物件ごとのオリジナル防災パンフレットを提供します。

“防災バッグの提供なんて、同様の取り組みは他でもあるじゃないか”

そう思った皆さま。「FINE BOX」の特徴のひとつともいえるのが、まさにそこなんです。肝心なのは防災バッグの中身。「FINE BOX」では、備蓄品を詰めた防災バッグに、あえて余白を残しています

それは、住民にとってこの防災バッグが「防災について考えるきっかけ」になってほしいと考えたから。「余白には各世帯に必要なものを加えて『オリジナル防災バッグ』をつくってほしい」。そんな強い思いを込めて、この形での提供を決めました。

さらに、「はぐくむ」では、防災機能をもたせた管理組合の運営を専門家がサポートし、マンションの防災活動に住民の声が反映されるようにします

地域のハザードを理解した「防災ルール」を定め、住民が災害時に防災設備を「活かせる」体制を整えることで、どんなときでも安心できるマンションを育んでいくのです。

たとえば、
・マンション住民の声を集める防災アンケートの実施(災害時の心配事や、マンションとして取り組んでほしい防災対策など)
・マンション防災設備ツアーの開催(管理会社の協力を得て、マンションの防災設備を学び、実際に触れることができるツアーを開催)
などが、そのための取り組みとして考えられます。

形ばかりのものにしないためには、マンションや住民の属性に合わせた活動を行っていくこと。またそれらの活動を通して「誰かがしてくれる防災」ではなく「みんなで取り組む防災」という意識を育んでいくことが大切です

結果として、住民が日頃から災害を想定し、協力し合える関係へとつながっていくからです。

もちろんその関係を「はぐくむ」過程は、人々のつながりによって街の課題を解決する“ネイバーフッドデザイン”のプロである私たちが、しっかりとサポートしていきます。

三位一体で「活きる」マンション防災を

災害が起きてから対応を考えているのでは、間に合わないことだってあります。

デベロッパーが防災設備を整えていても、住民に知られていなければ本当の安心にはつながりません。防災倉庫にある備蓄品を知っていても、その使い方を知らなければ、活用できません。また自分や家族では解決できないとき、日ごろからのつながりが助けてくれることもあります。

そしてこれらはすべて、そこに暮らす住民が「災害時になって初めて気づく」ことだったのです。少なくともこれまでは、そういった事態が多く起きていました。

昨今の災害つづきで、住民の防災に対する関心は年々高まっています。そんないまだからこそ、デベロッパーや管理会社は、住民が災害時に感じる「マンション特有の不安」について知り、整えたマンションの防災設備や環境が「活かされる」よう、住民に伝えていきましょう

住民が防災について考える機会を与えられるのは、デベロッパーの強みでもあります。「安心・安全な暮らし」の基盤をつくることができるデベロッパーだからこそ、住民にもっと働きかけていってほしいと思っています。

突如襲ってくる災害に備えるには、「デベロッパー」「管理会社」「住民」の三位一体で行うことが大事。災害が起きたときでも、起きてしまったあとでもない。日常生活を送る“日ごろ”から、皆が手をとりあい、災害と向き合うことが必要です。

本当に安心できる暮らしをつくるために、ともに防災減災に取り組んでいきましょう。

(宮本 好)

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人と和のために仕事をし、企業や市民とともに、都市の社会環境問題を解決します。 街の活性化も、地域の共助も、心地よく学び合える人と人のつながりから。つくりたいのは、会いたい人がいて、寄りたい場所がある街。そのための企画と仕組みづくり、伴走支援をしています。

http://hitotowa.jp/

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